障害(Disability)と障がい者について | |
障害と、障がい者の定義 | |
障がい者とは 何らかの原因によって、日常生活または社会生活に影響の出るような制限を受けている人のこと。 障害者基本法による障がい者の定義 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する) がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける 状態にあるものをいう。 本邦における障がい者数 「平成21年版障害者白書」厚生労働省作成:平成17年〜18年に実施された調査に基づく厚生労働省発表の 資料より 身体障害者数−366万人、知的障害者数−55万人、精神障害者数−303万人 総数は724万人で、全国民の約5%に相当する。 |
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障害の分類 | |
1:身体障害 | |
身体障害とは 先天的あるいは後天的な理由で、身体機能の一部に障害を生じている状態、あるいはそのような障害自体のこと。 次の5つに分類される (1) 視覚障害 (2) 聴覚障害・平衡機能障害 (3) 音声・言語障害(咀嚼障害を含む) (4) 肢体不自由 (5)内部障害(心臓・腎臓・呼吸器・膀胱・大腸・小腸・免疫等の障害) (1)視覚障害 視覚(視機能)が日常生活や就労などの場で不自由を強いられるほどに「弱い」、もしくは 「全く無い」障害のこと。 残存視覚がある「弱視者」(low vision)と、視覚をもたない「盲」(blindness)とに分けることができる。 前者を見えにくい人、後者を見えない人、と呼ぶ場合がある (2)聴覚障害・平衡機能障害 聴覚障害者は、聴覚器に感覚鈍磨を生じる感覚器障害者の一種である。 聴覚障害者にはろう者(聾者)のほか、軽度難聴から高度難聴などの難聴者、成長してから聴覚を失った 中途失聴者、加齢により聴力が衰える老人性難聴者が含まれる。 平衡機能障害は反射系と中枢系の連携障害、体平衡系の異常によって起こる現象で、原因を大別すれば、 内耳を含めた末梢神経系(前庭系)の障害と中枢神経系の障害とがある。 (3)音声・言語障害(咀嚼障害を含む) 言語障害には、「音声機能の障害」と「言語機能の障害」とがある。 前者は、音声、発音、話し方についてであり、後者は、表現や理解についてである。 @音声機能の障害 音声や構音(発音)、話し方の障害のことである。 構音障害(機能性、器質性、運動障害性、聴覚性) 吃音症(話し方の流暢性とリズムの障害) 痙攣性発声障害(局所性ジストニア) 速話症、乱雑言語症、早口言語症(Cluttering) 等 早口言語症は、聴覚フィードバック系の機能不全であることが解っている。 また、脳性麻痺や聴覚障害、口蓋裂、喉頭摘出、舌切除等によっても音声障害が生じる。 A言語機能の障害 ことばの理解や表現の障害である。 失語症・高次脳機能障害 言語発達障害 (4)肢体不自由 人体の運動機能において何らかの永続的な障害が存じており、それが日常生活に不自由を もたらすほどの状態。 (5)内部障害 肢体不自由以外の体の内部の障害である。 心臓機能障害 腎臓機能障害 呼吸器機能障害 膀胱・直腸機能障害 小腸機能障害 ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害(HIV感染症) 肝臓機能障害 詳細は、「身体障害」へ (補足)−1 重複障害 重複障害は、次のうち2つ以上を併せ有する場合をいう。 視覚障害 聴覚または平衡機能障害 音声・言語または咀嚼機能 肢体不自由 内部障害 知的障害 精神障害 (補足)−2 身体障害者手帳 身体障害者が健常者と同等の生活を送るために最低限必要な援助を受けるための証明書にあたる 知的障害がある者に関しては療育手帳が、精神に障害がある者に関しては精神障害者保健福祉手帳が それぞれ存在する。 (補足)−2 等級 等級は数字であらわされ、数字が小さいほど重度である。 最高度は1級。障害を複数もつ場合は、各部位に対して個別に等級がつき、その合計で手帳等級が決定される。 1,2級は、重度(特別障害者)、 3級以下は、中度・軽度(一般障害者)に区別される。 また、肢体不自由には等級上「7級」が存在するが、7級単独の障害では身体障害者手帳は交付されない。 7級の障害が重複して6級以上となる場合は手帳が交付される。 |
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2018年厚労省 「身体障がい児・者」実態調査調査より |
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2:知的障害 | |
知的障害(Intellectual Disability)とは 知的障害は、次の3点で定義される 知的機能に制約があること、 適応行動に制約を伴う状態であること、 発達期に生じる障害であること 一般的には金銭管理・読み書き・計算など、日常生活や学校生活の上で頭脳を使う知的行動に 支障があることを指す。 精神遅滞(mental retardation)とほぼ同義語であるが、一般的には医学用語上の用語として 「精神遅滞」を用い、学校教育法上の用語として「知的障害」を用いる形で使い分ける。 客観的基準を示す法令にあっては、3つを要件とするものが多い。 発達期(おおむね18歳未満)において遅滞が生じること、 遅滞が明らかであること、 遅滞により適応行動が困難であること 遅滞が明らかか否かの判断に際して「標準化された知能検査(田中ビネーやWISCやK-ABCなど)で 知能指数が70ないし75未満(以下)のもの」といった定義がなされることもある。 通常、事故の後遺症や認知症といった発達期以後の知能の低下は知的障害としては扱われない。 詳細は、「知的障害」へ |
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3:精神障害 | |
定義 精神や行動における特定の症状を呈することによって、機能的な障害を伴っている状態である。 種類 統合失調症、うつ病や双極性障害、パニック障害、性機能障害、物質関連障害 など 詳細は、「知的障害」へ |
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4:発達障害 | |
定義 身体や、学習、言語、行動において一連の症状を持つ状態で、症状は発達中に発見され、 通常は生涯にわたって持続する障害の総称。 種類 広汎性発達障害(PDD:pervasive developmental disorders)PDD 自閉性障害(Autism disorder、自閉症)。 アスペルガー症候群(AS, AD) レット症候群 小児期崩壊性障害 (CDD) 特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)。 学習障害(LD) 注意欠陥・多動性障害(ADHD:Attention-deficit hyperactivity disorder) 協調運動の障害 言語の障害 詳細は、「発達障害」へ |
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障がい者に関わる各種法令 | |
社会福祉六法 |
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日本における生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、 知的障害者福祉法の総称。 単に福祉六法(ふくしろっぽう)とも言う。 ・生活保護法(1950年施行) ・児童福祉法(1947年施行) ・母子及び父子並びに寡婦福祉法(1964年施行。旧称は母子福祉法、母子及び寡婦福祉法) ・老人福祉法(1963年施行) ・身体障害者福祉法(1949年施行) ・知的障害者福祉法(1960年施行) |
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障害者基本法 (昭和45年法律第84号) | |
障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本的理念を定め、及び国、地方公共団体等の 責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を 定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進し、 もって障害者の福祉を増進することを目的として制定された日本の法律。 |
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障害者総合支援法 (平成17年法律第123号) | |
障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を 営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付、地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い、 もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を 尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。 |
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身体障害者福祉法 | |
身体障害者の福祉の増進を図る為の日本の法律。 |
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知的障害者福祉法 (昭和35年 法律第37号) | |
知的障害者の福祉を図るための日本の法律である。 この法律の目的は「知的障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、知的障害者を援助するとともに 必要な保護を行い、もつて知的障害者の福祉を図ること」(第1条)とされている。 当初の名称は精神薄弱者福祉法だったが、1999年4月施行の精神薄弱の用語の整理のための関係法律の 一部を改正する法律(平成10年9月28日法律第110号)により改められた。 |
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精神保健福祉法 (精神保健及び精神障害者福祉に関する法律) (昭和25年 法律第123号) | |
精神障害者の医療・保護、その社会復帰の促進・自立と社会経済活動への参加の促進のための必要な援助、 その発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進により、精神障害者の福祉の増進・国民の 精神保健の向上を図ることにある。 |
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発達障害者支援法 (平成16年法律第167号) | |
自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥・多動性障害などの 発達障害を持つ者に対する援助等について定めた法律。 全25条。2005年(平成17年)4月1日施行。 |
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障がい者と社会福祉 | |
障害者福祉(Disability welfare)とは |
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身体、知的発達、精神に障害を持つ人々に対して、自立を支援する社会的サービスのことである。 広義では障害年金などの所得保障・医療保障、また雇用・住宅施策も含む。 |
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障害福祉サービス | |
(1)サービスの種類 @障害福祉サービス 個々の障害のある人々の障害程度や勘案すべき事項(社会活動や介護者、居住等の状況)を踏まえ、 個別に支給決定が行われる。 障害福祉サービスは、介護の支援を受ける場合には「介護給付」、訓練等の支援を受ける場合は 「訓練等給付」に位置付けられる。 それぞれ、利用の際のプロセスが異なります。 サービスには期限のあるものと、期限のないものがありますが、有期限であっても、必要に応じて 支給決定の更新(延長)は一定程度、可能となります。 A地域生活支援事業 市町村の創意工夫により、利用者の方々の状況に応じて柔軟に実施できる。 |
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参考資料 | |
Wikipedia 「障害者」 「障がい者福祉」 「身体障害」 「発達障害」 「知能指数」 『歯科衛生士のための障害者歯科第3版』 医歯薬出版 2006/10/1 足立 三枝子 (著), 緒方 克也 (監修) 『スペシャルニーズ デンティストリー 障害者歯科』 医歯薬出版 2009/9/1 日本障害者歯科学会 (著, 編集) 障がい者と歯科診療:各論 |
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