腫瘍の定義 
 細胞が「自律性」に無制限の分裂、増殖をなし、量的に増大するものを
腫瘍といいます。
 たとえば、手足などに傷を負った場合、極端に大きな損傷でなければ、自然治癒力によってほぼ元の状態に復元します。
 これは、細胞のコントロールされた有限性の増殖によるものです。
 しかし腫瘍の場合には、コントロールを受ないで勝手に増殖が行われてしまいます。
 特に悪性腫瘍では、この増殖が無限で、やがては宿主を死に導いてしまいます。

口腔領域の腫瘍
 口腔領域に発生する腫瘍は、歯原性のもの、非歯原性のものとがあり、さらに非歯原性は、良性と悪性に分けることができます。

歯原性腫瘍odontogenic tumor
 歯の発生に関係する細胞から由来する腫瘍を歯原性腫瘍または歯系腫瘍といいます。
 これには上皮性、間葉性、混合性の腫瘍があります。
 一般的に、歯原性腫瘍は良性腫瘍であるが、まれに悪性化するものあります。

非歯原性腫瘍
    良性腫瘍
    悪性腫瘍

        癌腫(上皮性腫瘍  :舌癌、歯肉癌、唾液腺癌など)
        肉腫(非上皮性腫瘍:骨肉腫、悪性リンパ腫など)

参照:  口腔内の悪性腫瘍  TNM分類とステージ分類  進展度による呼称

  良性腫瘍と悪性腫瘍の相違点

良性腫瘍 悪性腫瘍
発育速度 遅い 速い
増殖態度 膨張性(限局性) 浸潤性
再発 ほとんどなし しばしばあり
転移 なし あり
潰瘍形成 なし あり
放射線感受性 低い 高い
細胞異型の程度 少ない 多い
核分裂像 少ない 多い

  癌腫と肉腫の相違点

癌  腫 肉  腫
母組織 上皮性 間葉性
発生率 多い 少ない
好発年齢 高年齢に多い 全年齢層(若年者にも発症)
潰瘍形成 多い 比較的少ない
腫瘤の増殖 潰瘍型、分葉状浸潤性 初期膨隆性、血管性に富む
転移 リンパ行性(末期血行性) 通常血行性(全身的で早期に迅速)
悪性度、予後 悪い より悪い
         

      

 口腔腫瘍 (Tumor of oral cavity)