俳句のごみ箱
孟生の詠んだ俳句の駄作集
春愁や蕾まばらの徒長枝
春愁や伸びすぎた枝切るべきか
春愁や倒れし自転車長き列
庭に来てせはしく尾振るじょうびたき
15年2月
春愁や倒れし自転車黒ばかり
春一番自転車揺れて進まざる
三月
足萎へて進まぬ自転車春北風
走り来て名残の雪を振り払ふ
春雪やたちまち消へし旅心
春雲や見ればたちまち旅心
落ち来てはたちまち消ゆる春の雪
耕して畝も作れし日永かな
自転車の揺れて進まぬ春一番
黄砂来るフロントガラス砂漠化す
四月
花に酔ひ人にも酔ひて花疲れ
花に酔ひ人出にも酔ひ酒に酔ひ
風の来て散るやみるみる花筏
啜る音九人家族の浅蜊汁
両手挙ぐ塾帰りの子春の星
春雲やのろのろ進む選挙カー
春の星一年先に新人王
春眠や三回呼ばれ生返事
浅蜊汁殻の開かぬものひとつ
五月
夏暖簾餃子の匂ふ手で払ひ
夏暖簾風の案内奥座敷
若竹や自慢げに弾くピアノの子
夏暖簾顔で分け入る一杯屋
六月
点々と尾根登りゆく夏帽子
昼顔を避けて漁師の急ぎ足
昼顔を跨ぐ近道下校の子
夏帽子嶮しき尾根に見え隠れ
夏帽子隠すは美人かも知れぬ
夏帽子嶮しき尾根に赤白黄
蟹股で押すリヤカーに夏野菜
七月
頂上や汗よ退けよと肌に風
頂上の風に汗退く肌の快
梅雨明けの間近の床に豪雨聞く
採り立ての胡瓜もむ手の指太し
胡瓜もむ妻とふたりの朝餉かな
滝しぶき苔一面の巌に散り
雨上がり突如青柿落つる音
青柿の落つる音して雨上がる
豪雨過ぎ突如青柿落つる音
ブラインドを西日擦り抜け縞の顔
冬もみぢ今年に繋ぐエネルギー
雪を裂く自転車重し往診路
十二月