V:その他の診査(粘膜他)
1:口腔乾燥症の診査(詳細は
口腔乾燥症へ)
(1)臨床的視診判定(柿木)
各種の診査方法が有りますが、この柿木先生の方法が最前であるように考えます。
0度(正 常) : 乾燥なし(1〜3度の所見がなく、正常範囲と思われる)
1度(軽 度) : 唾液の粘性が見られる。
2度(中程度) : 唾液中にの小さい唾液の泡が舌の上に見られる。
2:味覚障害
(1)味覚の診査
スクーリーニングとしては問診を重視
(2)味覚検査
@電気味覚検査法
電気味覚計という器具を使い、弱いプラスの電気を流して刺激レベルを変化させ、味を感じ取れる度合いを調べる方法。
A濾紙ディスク法
甘味、塩味、酸味、苦味の4種類の味をそれぞれ染み込ませた濾紙を舌の上にのせます。
それで味が感じられるかどうかをチェック
する方法。
濾紙に染み込ませた味が全部で5段階ある。
Bソルセイブ
試験紙は食塩(NaCl)含有量0、0.6、0.8、1.0、1.2、1.4、.6mg/c
の7種類が1セットになっています。
各々の試験紙を舌に乗せ、どの食塩含有量の試験紙を塩か
らく感じるかにより、食塩味覚閾値を判定します。
栄養指導や塩分感受性テスト用として利用されます。
3:舌苔
(1)舌苔とは
角化が亢進して伸びた糸状乳頭に、食物残さや細菌およびその代謝産物が付着し
て舌苔が形成されます。
舌苔は全身状態と関連していて、舌粘膜をするためのある種の防御反応とも考えられています。
@正常な場合の舌苔
舌の色には舌本体の色のほかに舌苔の色、着色物の色があります。
正常な説の場合、白い苔が全体に薄く均等
についています。
A白い苔が分厚くなる場合
糸状乳頭が増殖したり、腐敗した粘液や脱落した上皮細胞が積み重なる状態。
脱水や唾液分泌の低下による自浄作用の低下、消化管の感染症などの場合によく
見られます。
カビの一種であるカンジダ菌が異常に増
殖している場合もあります。
B灰色や黒色の舌苔
さらに病状が進行して重くなった場合など
高熱や脱水、炎症性疾患、感染症、唾液pHの変化などとの関連があります。
口腔内の常在菌のバランスがくずれ菌交
代現象をおこすと舌苔が黒〜褐色に着色します。
舌に黒い毛が生えたように見えることがあります。
これは黒毛舌と呼ばれ、長期間抗生物質を服用した場合などによく見られます。
C舌苔に黄色の着色
熱や病気が進行した時に認めることもあります。
慢性胃炎や胃下垂、消化吸収不良でも薄
黄色苔が形成されます。
病状が進行すると黄色の程度が強くなる
傾向があります。
また喫煙本数の増加とも関連しているといわれています。
D無苔
無苔は舌乳頭の全体的な萎縮によると考
えられます。
疾患の重度慢性化、長期化の場合に見ら
れ、慢性的な栄養不良が考えられます。
微量元素や鉄分が不足した場合などにも見られます。
(2)舌苔と口腔機能
病的な舌苔の発症は、何らかの全身的原因が有ると考えなければなりません。
それが間接的に口腔機能を障害している可能性もあります。
直接的にも、味覚障害、舌機能の減退をもたらす可能性も有ります。
(3)舌苔のケア
まず最初に舌苔が出来た原因を探ることが重要です。
@原因として考えられるもの
上部消化管障害、熱性疾患、栄養障害
口腔乾燥症、口腔カンジダ症 等
Aケアの実際
最初に原因に対する治療を行います。
次に対症療法的に舌苔の除去を行う必要がある場合も有ります。
その時には無理な力で除去すると傷がつきやすいので、軽い力での
清掃や保湿を中心として口腔ケアを行うことで改善します。
4:カンジダ症 (詳細はカンジダ症へ)
(1)カンジダ症とは
カンジダ症はCandida属菌種により引き起こされる日和見感染症です。
@表在性カンジダ症
皮膚・粘膜を侵す
A深在性カンジダ症(内臓カンジダ症)
消化管、気管・気管支・肺、腎・尿路系、その他の深部臓器を侵す。
また、口腔カンジダ症は、多彩な肉眼像を呈し、以下の4型に分類されています。
1:急性偽膜性カンジダ症
2:急性萎縮性(紅斑性)カンジダ症
3:慢性肥厚性カンジダ症
4:慢性萎縮性(紅斑性)カンジダ症
(2)カンジダ症と口腔機能
舌苔発症と同様に、口腔機能の減退が生じる可能性が有ります。
5:その他の粘膜疾患(詳細は粘膜疾患へ)
W:総合的診査 (摂食嚥下状態の診査
)