疾患修飾因子には以下の
因子があります。

全身的修飾因子
 ・喫煙
 ・加齢
 ・糖尿病と他の全身状態
 ・ストレス
 ・遺伝
 
局所的修飾因子
 ・外傷性咬合
 ・特異的な細菌
 ・細菌性沈着物と
  口腔衛生状態

 「実践ペリオドントロジ−」より引用
歯周病リスクイメージ


歯周病の原因と症状                                   


  歯周病は感染症です。
  口腔内には300以上の菌種が存在しますが、その中の10数種類がヒト歯周炎の原因菌
  として関与しているといわれます。
  この原因となる菌に加えて疾患修飾因子として環境的・後天的リスクファクター、遺伝的
  リスクファクターなどがあり、歯周炎の多様性が発現すると考えられています。

  歯周病の原因と症状に関する項目
     1:発症の機序 バイオフィルム

     2:歯周病の症状   
        歯肉炎の症状
        歯周炎の症状
















 




   
                           

                                                

1:発症の機序  
    歯周炎は、歯面にバイオフィルムを形成するグラム陰性の嫌気性菌を主とした少数の
    菌種によって引き起こされます。

  バイオフィルムの形成プロセス
      1)歯面清掃直後に歯面に獲得被膜(ペクリル)が形成されて、そこに細菌が付着する(2時間以内)
      2)すると、吸着し合える細菌が凝集を起こしプラークが形成される。
      3)それらが菌体外多糖(グリコカリックス)を分泌して細菌の集合体はグリコカリックスに包まれた
        状態となる

  宿主の細菌に対する反応
      1)これらの細菌によってリポ多糖(LPS)や低分子の代謝産物などの毒性物質が常に生産されて
        バイオフィルムから放出される。
      2)こうした細菌の攻撃は生体側のバリアである上皮に悪影響を及ぼし、結合組織へ容易に浸透して
        宿主の細胞との相互作用で炎症反応を起こす。(宿主免疫炎症反応)
      3)そうなると食作用を持つ好中球がポケットへ移動してバイオフィルムを覆う。
        時間とともに特異的な抗体が産生されて炎症反応に関与する。
  歯周組織の破壊
      1)しかし、これら宿主側の防御反応は比較的効果が低くこの免疫反応の結果、組織破壊が起こる。
      2)疾患の重篤度と進行速度はフィードバックされて細菌の侵襲の性質と度合、例えば歯周ポケット
        内のpH、酸素や栄養素の利用度に影響を及ぼす。

                                         

2:歯周病の症状

 (1)歯肉炎の症状
      歯肉炎は歯肉にのみ炎症病変が生じたもので、歯根膜や歯槽骨は破壊されておらず
      歯周炎の前段階ともいえます。
      しかし歯肉炎がすべて歯周炎に進行するわけではなく、歯肉炎のまま長期間維持される
      ものもあります。

            

  初発因子はプラーク 
      口腔清掃を中止してプラークが付着すると2〜3日で肉眼でも歯肉炎の発生を見ることができます。
  仮性ポケット(歯肉ポケット)の形成
      歯肉が歯と付着する位置はほとんど変わらす、歯肉が炎症により腫脹したり増殖することによって
      仮性ポケット(歯肉ポケット)が形成されます。
  局所的修飾因子の関与
      局所的修飾因子(プラーク除去を困難にする因子)や口腔清掃を阻害したり、プラークを付着・増加
      させる因子(歯石・歯列不正・口呼吸・不良な補綴物)によって憎悪します。
      全身的修飾因子の関与
      最初はプラークによって引き起こされますが、全身的因子あるいは局所的因子に強く修飾されている
      歯肉炎があります。 例: 妊娠性歯肉炎、白血病性歯肉炎など
  歯肉炎の治療
      口腔清掃の徹底で初発因子であるプラークを取り除くことにより、著しく改善します。
      さらに、修飾因子を取り除くことで臨床的に正常な状態に回復します。
                                            
 (2)歯周炎の症状
      歯周炎は歯肉に初発した炎症が、歯根膜や歯槽骨など深部歯周組織に及んだものです。
      歯肉炎が歯周炎に進行するには、通常ある程度のプラークが長期間に渡って存在することが必要です。
      これには局所的修飾因子が大きく関与します。
      進行する速度は比較的ゆっくりで、数年単位です。
      しかし、早期接触などにより異常に強い咬合力が加わって咬合性外傷を合併したり特殊な細菌に感染
      したりすると破壊は急速に進行します。
      さらに全身的因子として生体防御の強弱も影響します。
      例えば、糖尿病による抵抗力の低下(白血球の機能低下など)が歯周炎の進行を速めます。

         


   真性ポケット(歯周ポケット)の形成
       歯肉と歯の付着(結合)機構が破壊されて歯根に付着する歯周組織の量が減少します。
       ポケット内は細菌が増殖しやすい環境で、多量の有害な細菌の産生物がポケット上皮を通過して
       歯肉内に入り込みます。
       さらに炎症が高度になると細菌自体が歯肉結合組織内へ侵入します。
      このような状態からも、歯周炎は歯周病関連菌の感染症であるともいえます。

   局所的修飾因子の関与
      歯石・歯列不正・不良な補綴物など、プラーク除去を困難にするプラーク増加因子が存在すると
      憎悪します。
      ひとたびポケットが形成されると、ポケット内部は自分で清掃できないために、さらにプラークが増加し
       て炎症を進行させます。
      部位特異性
とは同じ患者さんの口腔内でも、部位によって歯周炎の進行度に大きな差異が見られる
      ことです。
      これは局所的修飾因子や歯の解剖学的特徴、増殖している細菌の質(種類)などによります。
      外傷性咬合(早期接触、強い側方圧など)が歯周炎と合併すると急速に進行することから歯周炎の重要
      な修飾因子の1つと考えられます。
   全身的修飾因子の関与
      細菌感染に対する抵抗力を低下させる全身疾患(糖尿病や血液疾患、特殊な遺伝性疾患など)や免疫力
      低下は歯周病を進行させます。
  歯周炎の治療
       軽度の歯周炎は基本的な原因除去療法で健康を回復することが可能です。
      一方重度の歯周炎は治療が困難になり複雑な治療を必要とします。
      しかも完全な回復は不可能な場合が多い
のです。
      現在の治療技術では失われた歯周組織の再生は難しいですが、完全な健康回復や再生が不可能な場合
      でも患者さんの熱心なプラークコントロールと歯科医師のメンテナンスによって、歯を保存し機能させることは
      十分可能
です。
    


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