ヤマハギの花を惜しむキチョウと葛の花。
赤飯(マンマ)と白飯(マンマ)は畑の中で
賑やかに実をつけて揺れている。
田んぼでは黄金の穂が頭を垂れて
揺れているけれども、畑はいつもこんな調子。
ぐうたら園長さんは、夏の草取りは苦手のよう。
茶の木の花をながめながら
来年の茶摘みのことなどに思いを馳せる。
とおもえば、道端の雑草を覗き込んで
いるばかり。オオニシキソウの小さな花序も
立派な花だと言う。
草刈に疲れた住人たちに代わって、山すそには
野草たちが勢いを盛り返す。
ヤマハッカの可憐な花があふれてきます。
「浜の旦那は四里四方は他人の土地を踏まずとも歩ける−−」で始まる「赤とんぼ」。
Reizo.Yawata氏の小説の一節を思い出す。
「雲一つない墓地の上の清澄な青い空には、いまいくつもの赤とんぼが短い進退を
くり返しながらうすい羽を秋の日差しに光らせてとんでいる。死者と語ることのできる
赤とんぼは、この地下に眠っている死者についてそのすべてをよく知っていた。
その果敢なげな弱々しいとびざまに人間の感情がくわわると、死者たちの遠い
過去の話を交々に語っているように思えてくる。 .......かって人間の現世に
いた頃の不幸せだった生涯を知り、人間の一生の果敢なさやその生きる悲しみを
かたみに語りあっているのかも知れない。やがて自分たちの群れをほどいた
赤とんぼは、こんどは次々と青い空をしゃくって思い思いに、すい,すーいと大空を
大きくながれはじめた。」
オオニシキソウ
平成16年正月亡くなった
義父、礼蔵氏。国鉄33年
その後関連会社で13年の
現場勤務の末、68歳で退職。
口数少なく、本に囲まれ、
本業の傍ら執筆に明け暮れた。
ダンボール箱に詰め込まれた
原稿の中から短編「母」と
「赤とんぼ」を遺稿集として
上梓することが出来ました。
その生き様に背筋をのばして
カメラを持つ日々です。
ヤマハッカ